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温暖化が進むと気候帯ってどうなるの?

1学期の授業が終わり、夏休みに入りました。

1学期のアンケートで多く質問をもらった「温暖化が進むと気候帯は変化するの?」という質問にお答えしようと思います。

 

目次

1 気候帯ってそもそも何?

2 植物と気候の濃密なつながり

3 温暖化が進むと植物の分布はどう変わる?

 

1 気候帯ってそもそも何?

1学期の授業では主に5つの気候帯の衣食住について学んできました。

その中で、このような疑問を抱いたことはありませんか?

 

「そもそも気候帯って何なの?」

 

確かに、地図でみると、帯状に同じ気候帯が広がっています。

「なるほど、帯状に同じ気候の地域が広がっているから気候帯なんだ!」と納得した人もいるかもしれません。

 

だけど、実はこの気候帯というものは「気候」に注目して発見されたものではなかったのです。

 

「??????」と思っている人が多いと思います。笑

 

それでは、気候帯の正体について迫っていきましょう。

そのために、この人を紹介したいと思います。

 

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ドイツの気候学・気象学者ウラジミール・ペーター・ケッペン(1846-1940)

 

みなさんが授業で学んだ気候区分はこのケッペンさんが考え出したものなのです。

(詳しくは高校の地理で学びます。)

 

なので、この気候帯や〇〇気候は高校では「ケッペンの気候区分」なんて教わったりします。

 

ケッペンさんはどのようにしてこの気候帯というものを発見したのでしょうか?

 

ヒントは「植物」です!!

 

2 植物と気候の濃密なつながり

ケッペンさんは植物に目をつけて、気候の分析を始めました。なぜ、植物に目をつけたかというと、植物は移動しないから!!

 

気候によって、動物の生きている範囲ももちろん違います。

だけど、動物は移動してしまうので、必ずしも「その場所にいた」ということが証明できません。

 

だからケッペンさんは植物に注目しました。

 

同じような植生(植物の生息)が見られる範囲は似たような気候であることを発見しました。

それが、みなさんが授業で学んだ気候帯や〇〇気候と呼ばれる「ケッペンの気候区分」なのです。

 

3 温暖化が進むと植物の分布はどう変わる?

ケッペンさんは植物の分布によって、気候帯を分けました。

植物は気温や降水量の影響を受けて育つかどうかが決まるという考え方を利用したものだと思われます。

 

さあ、ここからさらに気候帯について深めてみましょう。

 

気温や降水量と植物の生息が繋がっているのであれば、気候帯の位置や範囲は温暖化によって変わるのではないでしょうか?

 

次のグラフは世界の1981〜2019年の平均気温に対して、その年がどのくらい気温の±があったかを示したグラフです。

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(『世界の年平均気温偏差』国土交通省気象庁ホームページより引用)

 

ケッペンさんが気候区分を発表したのは1918年です。その頃から比べると、年平均気温が1度近く上昇したことがわかります。

 

この1度という数字をどのように捉えるかは分かれるところかもしれません。

 

「なんだ、1度しか変わってないのか」と捉えるのか。

「1度も変わったのか!!」と捉えるのか。

捉え方の違いによって、意見が別れそうなところではあります。

 

ただ、地球温暖化が進んだことでこの100年で海面が17cm上昇したり、降水量が増加していたりと、確実に環境の変化が生じています。

(参考文献:環境庁『温暖化から日本を守る適応への挑戦』https://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_tekiou/full.pdf

 

植物にとって、気温や降水量の変化は大きな影響を及ぼします。

特に、北半球の高緯度地域では、地球温暖化の影響を強く受け、気温の上昇が強くみられると言います。

 

すでに、日本でも地球温暖化の影響によって植物の成長に変化が起きているといいます。

 

日本の主食であるお米は気温の高い日が続くと、米が白く濁ったり、亀裂ができてしまったりという被害が生じるそうです。

 

他にも、みかんが育つ範囲がどんどん北に広がっている一方で、リンゴが育つ範囲が狭まっているそうです。

 

植物の生息が変わるということは、気候帯や気候の分布が変わるということ。

 

地球温暖化をこれ以上進行させないために、何ができるかを考えていく必要がありますね!

思っている以上に、私たちの生活にも影響が及びそうです・・・